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京都地方裁判所 昭和57年(わ)89号 判決

本籍

京都市右京区西院西淳和院町四八番地

住居

名古屋市千種区向陽一丁目三番三七号向陽苑二〇三号

会社役員

小林保晴

昭和二四年一月二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官和田敏行出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一、八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、京都市右京区西院西淳和院町四九番地ほか一か所において、洛西モデルの名称で模型玩具販売業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て

第一  昭和五三年分の総所得金額は五、九六八万八、二一二円で、これに対する所得税額は三、〇七九万九、九〇〇円であったにもかかわらず、公表経理上売上の一部を除外するほかたな卸商品の一部を除外するなどし、これによって得た資金を架空名義の定期預金にするなどして所得を秘匿した上、同五四年三月一二日京都市右京区西院上花田町一〇番地所在の所轄右京税務署において、同税務署長に対し、同五三年分の総所得金額は一、四七八万四、一九一円で、これに対する所得税額は四四一万九、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右年分の正規の所得税額三、〇七九万九、九〇〇円と右申告にかかる所得税額との差額二、六三八万八〇〇円を免れ

第二  昭和五四年分の総所得金額は八、三九六万七九三円で、これに対する所得税額は四、七四五万九、五〇〇円であったにもかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、同五五年三月一二日前記右京税務署において、同税務署長に対し、同五四年分の総所得金額は二、七五六万九、九一五円で、これに対する所得税額は一、〇八四万三、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右年分の正規の所得税額四、七四五万九、五〇〇円と右申告にかかる所得税額との差額三、六六一万六、三〇〇円を免れ

第三  昭和五五年分の総所得金額は七、七三八万三、一九三円で、これに対する所得税額は四、二五五万一、九〇〇円であったにもかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、同五六年三月一一日前記右京税務署において、同税務署長に対し、同五五年分の総所得金額が二、九一九万六、七八二円で、これに対する所得税額が一、一六二万二、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額四、二五五万一、九〇〇円と右申告にかかる所得税額との差額三、〇九二万九、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の目標)

判示全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書(検第四六号ないし第五四号)

一  小林敏子の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書(検第三七号ないし第四三号)

一  竝川良雄の大蔵事務官に対する供述調書(検第三六号)

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(検第一三号ないし第一七号、第一九号ないし第二六号、第二八号ないし第三四号)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第二号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検第三号)

一  被告人作成の所得税確定申告書謄本(検第八号)

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(検第一八号、第二七号、第三五号)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第四号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検第五号)

一  被告人作成の所得確定申告書謄本(検第九号)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第六号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検第七号)

一  被告人作成の所得税確定申告書謄本(検第一〇号)

(法令の適用)

一  判示各所為につき 行為時においては昭和五六年五月二七日法律第五四号による改正前の所得税法二三八条に、裁判時においては右改正後の所得税法二三八条に該当するが、犯罪後の法律により刑の変更があった場合であるから、刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による。

一  (刑種の選択) 所定刑中懲役刑及び罰金刑を併科

一  (併合加重) 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(懲役刑につき犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重)、四八条二項

一  (労役場の留置) 同法一八条

一  (刑の執行猶予) 同法二五条一項

(裁判官 安原清蔵)

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